 日本では、ビーナスとして知られる美の女神ですが、 ギリシア神話では、アフロディテ（Aphrodite）と言います。 アプロディテとか、アフロディーテーとか、色々読みますが、 ローマ神話ではウェヌス（Venus）と言って、これを英語読みしたのがビーナスです。 ここでは、ギリシア神話読みで、アフロディテとしてご紹介したいと思います。 愛と美の女神・・・と言うと、美しい乙女をイメージしてしまいますが、どっこいアフロディテは、 ゼウスの女性版といえるほど、恋愛遍歴の多い女神様です。 自由な恋愛を好む、美しいお姉さま、という感じでしょうか。 まず、アフロディテの誕生のお話です。アフロディテは、ゼウスの祖父ウラノスがクロノスに去勢されたとき、 海に落ちた男性器の周りに出来た泡から生まれた・・・という、ちょっとビックリな誕生の仕方をします。 別の説では、ゼウスとゼウスの姉のディオネの娘ともされていますが、あまり支持されていません。 一応ウラノスの娘にあたるので、ゼウスにとってアフロディテはおばさんになるんですね。 海の泡から生まれたアフロディテは、生まれた時には、すでに成熟した女性でした。 貝殻の上に乗って、西風に吹かれ、キプロス島の岸にたどり着きました。 これを描いた有名な絵が、ボッディチェリの『ビーナスの誕生』です。 真ん中の貝の上に立っているのがアフロディテです。 左側でぷ〜っと風を口から吹いているのが、西風ゼフュロス。 ゼフュロスが抱えている女の人は、後の花の女神フローラ。 右側でアフロディテに布を掛けてあげようとしているのは、 ホーラーという季節の女神のうちの一人です。 こうして、生まれた時から美しい女性のアフロディテは、 ヘパイストスという鍛冶の神さまと結婚しますが、 この結婚自体は、アフロディテが望んだ訳ではありませんでした。 というのも、アフロディテはたくさんの神さまから言い寄られる美しい女神ですが、 ヘパイストスは醜いことで、母親の女神ヘラからさえ、嫌われていた神様なのです。 へパイストスは、ヘラが自分ひとりで産んだ神様です。しかし、やはり女性一人で子供を作るというのは、 いくら神様でも無理なこと・・・。ヘパイストスは醜い姿で生まれてきたのです。 ヘラはヘパイストスを嫌って、こともあろうにオリンポスから地上へ、ヘパイストスを落としてしまいます。 そのため、ヘパイストスは地上で育ち、ヘラはヘパイストスを自分の息子とは認めていませんでした。 ヘパイストスは持ち前の器用さで優れた鍛冶職人になり、 あの一つ目の怪物キュクロプスたちを助手にして、ゼウスが落とす雷をはじめ、神々の武器を作るようになりました。 ある時、ヘパイストスはヘラと駆け引きをして、自分がヘラの息子であること、 神々の一員であることを認めさせました。 そこで、アフロディテとの結婚もヘラが仲人になり、認められたのです。 つまり、それまでアフロディテとヘパイストスが恋愛関係にあったわけではないんですね。 というより、アフロディテはヘパイストスと会ったこともなかったでしょう。 それでも、ヘラに頼まれたゼウスに後押しされては、アフロディテも断れなかったでしょう。 アフロディテはヘパイストスと結婚しました。 しかし、自由気ままに愛を求めるアフロディテが、おとなしくしているわけもなく・・・。浮気開始です(^^;)   |
