さて、ティタノマキアが終わって、
主神ゼウス、女王ヘラ、海の神ポセイドン、冥界の王ハデス、
豊穣の神デメテル、炉の女神ヘスティア、
さらに、ウラノスがクロノスに殺された時、アフロディテが海の泡から生まれています。
“オリンポス十二神”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
オリンポスに住む神々のうち、特に重要な12人を指す言葉です。
冥界の王ハデスは、ゼウスと並んで重要な神ですが、
死後の世界を司るので、この十二神には入れないことが多いようです。
となると、ここまでにオリンポス十二神のうち、
6人しか出てきていないんですね。
その他の神様を揃えるため(?)に、ゼウスの女性遍歴が必要になってきます。
まず最初に、ちょっとビックリなお話ですが、
ゼウスにとって、ヘラは3番目の奥さんです。
ヘラを正妻に迎える前に、ゼウスは2人の女神との間に子どもをもうけています。
まず、ゼウスの最初の妻となったのは、ティタン神族でありながら、
ティタノマキアに参加しなかった、大海の神オケアノスの娘の一人、メティスです。
メティスは知恵の女神で、一説には、ゼウスがクロノスから兄弟たちを吐き出させた際、
神のお酒ネクタルを作ってクロノスに飲ませたので、
兄弟たちが吐き出された、とも言われます。
また、メティスは奥さんというより、ゼウスに追いかけまわされて、
身ごもってしまったとも言われます。・・・ゼウスさん。
ともかく、メティスは懐妊しました。ところが、ガイアがこんな予言をするのです。
「メティスの産む子は、ゼウスよりも聡明で豪傑だ。もし男の子なら、ゼウスの地位を脅かすだろう。」
ゼウスは、これを聞いて焦ります。焦った末に、父親クロノスと同じようなことをしますが、
ゼウスはメティスごと、子どもを飲み込んでしまいました!!
これ以後、メティスはゼウスと同化し、ゼウスは知恵の神にもなったとか。
さて、月が満ち、ゼウスは突然、激しい頭痛に襲われます。
あまりにも頭が痛いので、ゼウスはヘパイストス(鍛冶の神)に頼んで、
斧で頭を割ってもらったという説がありますが、
この説は時間的矛盾があるのですが、さらっと流しておきましょう。。。
Paul Troger/壁画の一部(1739年)
とにかく、ゼウスの頭が割れたのです。
そして、そこから甲冑に身を包んだ、美しい成人女性が生まれてきました。
一説には、背が高く、灰色の目をした乙女が、槍を振りかざして飛び出してきたといいます。
それが、戦いと知恵と芸術の女神、アテナです。
アテナはオリンポスの十二神の一人に数えられ、人気の高い女神です。
現在も残る世界遺産のパルテノン神殿は、アテナに捧げられた神殿ですね。
パルテノン神殿のあるアテナイという都市の名前も、アテナにちなんだ名前です。
アテナは人々に知恵を授けるのに奔走し、様々な道具を作る方法を教えたとされます。
また、アテナの司る戦いは正義のための戦いだったので、多くの兵士もアテナに祈りました。
アテナは常に鎧兜を身につけ、決して男性を受け入れませんでした。
恋多きゼウスとは、大違いですね(^^;)
さて、ゼウスの2番目の奥さんも、またティタンの女神でテミスという正義の女神です。
テミスは剣と天秤を持って、裁判所に飾られていたりする女神です。
正義と公正さの象徴で、弁護士バッチに描かれる天秤も、このテミスの天秤です。
ゼウスとテミスの間には、ホーライとモイライと呼ばれる娘たちが生まれます。
ホーライは、三姉妹で時間や季節を司る女神たちです。
モイライも三姉妹で、運命を司ります。
モイライの方が人気(?)があるようで、物語の中にも良く登場します。
運命の糸を紡ぎ、運命の糸を手繰り寄せ、運命の糸を断ち切る女神たちです。
つまり、人の寿命や運命に関わるんですね。
ちょっと怖い老婆の姿で描かれることもあります。
ホーライとモイライは、重要な神様ではありますが、オリンポスの十二神には数えられません。
まだまだ、ゼウスの浮気は続きますが、その前にヘラとゼウスのお話をしましょう・・・。
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