バンシー(Banshee/Bean Sidhe)という、できれば会いたくない妖精をご紹介します。
バンシーは、実は姿かたちがいろいろで、よくわからない妖精です。
“妖精”と言っておきながら、実をいうと妖精かどうかすら怪しいのです・・・。
バンシーとは、「Bean=女」、「Sidhe=妖精」という意味の言葉からできています。
つまり、“女の妖精”が“バンシー”なわけですね。
その名のとおり、バンシーは必ず女性の姿で、男性はいません。
そして、バンシーが現れるのは、必ず誰かが亡くなるときなんです。。。
バンシーは、特定の家族についていると考えられ、
その家の誰かが亡くなる前に、泣き声だけ聞こえたり、耳を劈くような悲鳴を上げたり、
時には白やグレーの服を着た、髪の長い女性の姿や、
恐ろしい老婆の姿、はたまた、若く美しい女性の姿で現れることもあります。
バンシーの目は、つねに赤く腫れあがっているとも言われます。
バンシーは、どの家にも現れるわけではなく、
ゲール系(ケルト人)の名門の血筋の家に現れると言われています。
特に、名前に「O'」がついている家、
O'Grady(オーグレディ)、O'Neill(オニール)、O'Brien(オブライエン)などは
名門の家系で、バンシーがついている確立が高いようです。
「O'」というのは、「〜の息子」という意味の言葉で、現代でもこの苗字の人は、けっこういます。
バンシーは死を見通す力のある存在ですが、
死神のように、バンシーが人間の命を奪うわけではありません。
ただ、泣いたり、騒いだりするだけ。
バンシーが何人も現れた場合は、亡くなる人が勇敢で聖なる人物だという証明になりますし、
バンシーが現れるということは、その家が名家であるという証明ですから、かえって歓迎される存在です。
今でも、バンシーが出たお屋敷は、価値が跳ね上がるそうですよ。
さすが、ミステリー大好きな国イギリス・・・(笑)
(幽霊の出るお屋敷も、値段UPするぐらいですからね。)
バンシーは、もともと妖精ではなく、
予言の力を持つ女性のことを指す言葉でもあったようで、
バンシーと一緒に旅をするジプシーもいたようです。
これは、「泣き女」という、お葬式で泣くのを仕事にしている人たちの
イメージと重なっているようです。
また、バンシーは子どもを産んですぐに死んでしまった女性の幽霊だとか、
英雄を愛した女神だとか(ギリシア神話に似てますね)、
色んな説があり、妖精と言っていいのか、疑問も残ります。
姿に関しても、銀の櫛や骨の櫛で髪を梳いている、という、
そりゃ人魚じゃないか?という話もあって、
とにかく、広く女の妖精を指しているような、あいまいな存在です。
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