北欧神話のエルフ〜その1
エルフという妖精の歴史を辿ってみると、行き着くのが北欧やゲルマンの神話です。
これがイギリスに根づいてさまざまな姿かたちの妖精に変化していきます。
まずは北欧神話に登場するエルフを見ていきましょう。
ここでは主に、スカンジナビアの古代宗教の書物だった、『エッダ』と『サガ』に登場するエルフを手がかりにします。
北欧神話では、エルフをLiosalfar(明るいor白いエルフ)と
Dockalfar(暗いor黒いエルフ)の2種類に分けています。
このalfar(アルフル)というのが古代ノルド語で、ここからElfという言葉が派生したと考えられています。
alfarとは、ラテン語で「白」を意味する“albus”や、「山」を意味する“alpes”、北欧語で「水」を意味する“erf”が
語源とされています。何となく、エルフのイメージとつながりのありそうな語源ですね。
北欧神話に登場するエルフは、どちらかというと神様に近い存在で、姿も人間と同じぐらいの大きさで、人間よりも
美しく強いのが特徴といえます。北欧神話のエルフは男女存在し、時には神様や人間と結婚することもあったようです。
人間とエルフの間に生まれた子供には、魔術の才能があったり、たいへん美しかったりします。
北欧神話で変わっているのは、優れた人間の男性が死後エルフに加えられたという話が残っていることです。
この考え方からすると、エルフというのは先祖崇拝の一種の形なのかもしれません。
北欧のエルフは精霊のような存在で、住んでいる場所から天上のものと地上のものに分けられました。
天上に住むエルフを<明るいエルフ>と呼び、地上に住むエルフをさらに空中のもの、海のもの、陸地のものに分け、
中でも陸地に住み、地下に住むエルフを<暗いエルフ>と呼びました。
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