ゴブリンは、ドワーフと同じぐらいの背丈といわれる妖精です。 住んでいるところも、鉱山や洞窟、洞穴など地下世界の住人で、 金銀のありかを知り、護っているとも言われます。 ゴブリンには女がいないという話もあります。ホント、ドワーフに似ていますね。

日本語では「小鬼」「悪鬼」と訳されますが、 もともとはイタズラ好きの、ちょっと困った妖精でした。 ミルクを腐らせたり、家畜にちょっかいを出したり。 夜中に厩から馬を盗んで、朝まで乗り回し、 馬を疲れさせておく、なんてイタズラも大好きです。 また、夜中に人間に悪夢を送るのもゴブリンの仕業とか。
Arthur Rackam/『Goblin Market』より


それが時代を下るにつれて、邪悪な妖精とされていきます。 街に火をつけたり、子供や女性をさらったり、 赤ちゃんをさらって、代わりに醜いゴブリンの子を置いていったり、 ひどいのになると、幼い子供を食べるなんて話もあります。 見た目もどんどん醜くなっていき、 ゴブリンと言えば「醜い」「グロテスク」がつきもののようです。

邪悪な妖精というイメージの代表ともいえるのが、 「赤帽子」(Red-Cap)と呼ばれるゴブリンです。 赤帽子は、その名の通り、赤い帽子をかぶっていますが、 彼は人間を殺して、その血で帽子を染めるのを喜びとしているのです・・・。

「赤帽子」がいれば「青帽子」もいて、 こちらはお給料をもらうために、鉱山で働くそうです。 また、老人のように目は悪いけれど、 人間よりも賢い知恵者というゴブリンもいます。 この辺は、ハリポタで銀行員をやっているゴブリンと似ていますね。 グリンゴッツの金庫は、鉱山の中みたいなところですし。

そうそう、ゴブリン=悪役のイメージの基礎を作ったのも、 トールキン氏と言えるかもしれません。 『ホビットの冒険』には、ゴブリンが登場しますが、 その後「オーク」を英訳したのが「ゴブリン」であるとし、『指輪物語』では、オークで統一されています。 現代のゲームなんかでも、ゴブリンは悪役が相場。 ホブゴブリンは身体の大きなゴブリン(悪役)と設定されているものが多いんですって。

しかし、名前が似ているホブゴブリン(Hobgoblin)は、 ゴブリンとは全く違った性質をもっています。 こちらは人間に悪意があまりない妖精で、イタズラは大好きですが、農場のお手伝いなんかもしてくれます。 ブラウニーやコボルトなど、家事を手伝ってくれる妖精をホブゴブリンと呼びます。 ホブゴブリンは、気の良い妖精なんですよ〜!!

また、ゴブリンといえば、「ゴブリン・マーケット」が有名です。 マーケット=市場を開くんですね。 ゴブリンに限らず、妖精が開いている市があると信じられていて、 これを「ゴブリン・マーケット」と呼んでいます。 このマーケットは、遠くから見ると見えるのに、近づくと見えないとか、 マーケットに足を踏み込んで、恐ろしい目にあった人の話、 また、さらわれた子供が売られている!なんて怖い話もあります。

「そんな悪いことばっかりしてると、ゴブリンに連れて行かれちゃうわよ!」 と 現代でも、親が子供をこう叱ったりするらしいです。 秋田のナマハゲみたいな役割をしている妖精といえるかもしれません。





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