ヘラクレスの最期
ようやく、ヘラクレスの償いが終わりました。
なんて長いんでしょう・・・。
この後も、ヘラクレスはさまざまな冒険をします。
やっぱり時々狂気の発作に襲われ、惨い行為もしていますが、
そのたびに英雄的な行為で償うことになります。
そして、ディアネイラという女性と再婚しました。
この後、ヘラクレスはゼウスの最後にして最大の戦いに参加します。
ヘラクレスがゼウスの息子でありながら、人間のままでいたことには、
この戦いのためでもありましたが、このお話はギガントマキアの回にて・・・。
ヨハネス・ヘヴェリウス著/『Firmamentum Sobiescianum sive Uranographia』(1690年)より
ある時、ネッソスという名のケンタウロスがディアネイラにちょっかいを出しました。
ヘラクレスとディアネイラは川を渡るために、近くにいたネッソスの背中にディアネイラを乗せてもらうことにしたのですが、
ネッソスは美しいディアネイラを見て、ヘラクレスが岸にたどり着く前に襲おうとしたのです。
ヘラクレスは怒って、ネッソスをヒュドラの毒を塗った矢で射殺してしまいます。
ネッソスは、いまわの際に、「自分の血は媚薬になる。ヘラクレスが心変わりをしたら、
自分の血を衣服に浸して、それを着せると効果がある。」
とディアネイラに言い残して死にました。
数年後、ヘラクレスが愛人として他国の王女を連れてくるのを知ったディアネイラは、
ヘラクレスの愛が愛人に移ったのではないかと怖れ、
ネッソスの血をヘラクレスの衣服につけて着せました。
媚薬であると言われたネッソスの血には、ヒュドラの毒が混ざっていました。
ヘラクレスの皮膚はヒュドラの毒で、たちまちただれてしまいます。
あまりの痛みにヘラクレスは衣服を剥ぎ取ろうとしますが、
肌に吸い付いてしまい取れません。
ディアネイラはネッソスに騙されたことに気づき、ショックで自殺してしまいます。
ヘラクレスは悶え苦しみながら、ある予言を思い出します。
それは、“ヘラクレスはすでに死んだものによって殺される”というものでした。
ディアネイラから事の次第を聞いたヘラクレスはついに観念して、
自ら焚き木をくべてその上に横たわり、
戦友に弓矢を譲って、火をつけさせます。
しかし、炎に包まれたヘラクレスを、ゼウスは見捨てませんでした。
ヘラクレスの人間としての部分が死ぬのを見届けると、ゼウスは稲妻を送ってヘラクレスを昇天させます。
ヘラクレスは神の座に上がり、ようやくヘラの恨みも解けて和解しました。
和解の証に、ヘラの娘で青春の女神へべを天上での妻に迎えました。
そうそう、もちろんヘラクレスも星座になりました。
星座の場合ヘルクレス座(Hercules)と呼びます。
ヘラクレスはたいへんな人気を集めた神さまとなり、神殿も建てられています。
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