キキーモラと呼ばれる女の妖精がいます。
別名、シシーモラ(Shishimora)。どっちみち、何かカワイイ名前ですね。
キキーモラもスラブに伝わる、家事を手伝ってくれる妖精で、ドモヴォーイの奥さんという説もあります。
スラブの家やその周辺には、たくさんの妖精が住んでいますが、
女の妖精はこのキキーモラ(ドモヴォーイの奥さん)だけで、
あとはたいてい男の妖精なんだそうです。
キキーモラの姿には、何通りかの説があります。
1:頭は“指抜き”ほどの大きさで、身体はワラのように細い。
2:髪を下ろした普通の女性のように見える。(スラヴ地方の女性は、髪を布で覆っています。)
3:汚れた服を着た、猫背の小さな女の人。(この場合、沼や森に住むキキーモラ。)
4:顔は狼で、白鳥のようなクチバシがあり、胴体はクマ、足はニワトリ、ボルゾイ犬の尻尾がある。
家に住むキキーモラの住みかは、ストーブのかげや地下室に住むのを好み、
夜中に糸を紡いだり、機を織るために出てきます。
しかし、キキーモラが糸を紡いでいたり、機を織っていたりするところを見てしまうのは
非常に不吉なことでした。その姿を見た人は、まもなく死ぬと言われます。
そほかにも、夜の間に家事を全てやってくれるものや、
ニワトリの世話だけをやってくれるキキーモラもいます。
ただし、手伝ってもらえるのは、家をきちんとしている人だけです。
手抜きがひどいと、キキーモラはイタズラしかしません。
イタズラの対象は、決まって子どもで、夜になると寝ている子どもを
くすぐったり、耳元で口笛を吹いたりするので、夜泣きがひどくなります。
もっと大きい子でも、ぐずって言うことを聞かなくなります。
ほかにも、物が無くなったり、壊れたり、食べ物が腐ったりするのもキキーモラの仕業です。
キキーモラを怒らせてしまった時は、シダの葉っぱを煎じて作ったお茶で、
家中のお鍋や食器など、台所用品をすべてこすって洗うほかありません。
そうすると、キキーモラは許してくれるそうです。
|