コボルドは、チュートン神話などドイツ系の民族に伝わる小人です。グリムやファウストにも登場します。
身長は子供の背丈ぐらいで、派手な色の上着を着ているなんて話もありますが、実はあまり目撃されていないようです。
というのも、コボルドは2種類のタイプがいて、一つは鉱山などの山の中に住んでいて、
「トーン、トーン」と何かを叩いている小人です。
この「トーン、トーン」という音がしたら、鉱山で働く人はすぐに逃げていました。
落盤や爆発などの起こる前兆だったからです。
もう一つのタイプは、ブラウニーなどの妖精と良く似ています。
家事を手伝ってくれるんですね。
それも、かなりの働き者で、コボルドに気に入られた人は、
全く働かなくても栄えてしまうほどです。
でも、気に入ってもらうまでの試練のようなものがあって、
これがちょっと難しい・・・。
まず、コボルドが新しい家族に目をつけると、部屋の中にゴミを撒き散らしておきます。
それに加えて、ミルクの入った桶に家畜の糞を入れちゃいます。
家の主はよく気を配って、ゴミを散らばらないように、
ミルクは桶の中に糞を残して使い切るようにすると、
コボルドはこの家族を認めてくれるんだそうです。
う〜ん・・・糞はなぁ・・・・(=_=;)
コボルドは、この家の住人が生きている間は、
ずっと働き続け、その家は栄えるんだそうです。
ブラウニーなどへのお礼は、部屋の片隅にミルクを置いておくことですが、
コボルドへのお礼は、ご馳走をたっぷり盛った小皿です。
それを、毎日決まった時間に、決まった場所に置く。
そして、決してコボルドを見ないこと。
一度でもこれを忘れると、コボルドは怒って、家主の全ての行動を妨害します。
もう、やることなすこと、全部うまく行かない!
今でも、ドイツ語の慣用句の中に、「コボルドを持つ」という意味の言葉があって、
良く仕事ができる人のことを、「あの人にはコボルドがついている」なんて、ことわざのように使うそうです。
コバルト・ブルーでおなじみの、「コバルト」(Cobalt)の語源は、
この小人のコボルド(Kobold)です。
コバルトは、18世紀にスウェーデン人の学者が
発見するまで、「コボルド石」=「妖精石」と呼ばれていたそうです。
コバルトは銀に非常に良く似ていて、素人目には区別が付かないそうですが、
銀と違って、金属としては全く価値がありません。
そこで昔の人は、妖精が銀を盗み出して、代わりに置いていったものが、
この価値の無い石だ、と考えたわけです。
その犯人とされた妖精の名前を取って、「コボルド」と呼んでいました。
コバルトは、ただ価値の無い金属と言うわけではなく、実は猛毒の砒素(ヒソ)を含んでいることがあります。
銀と間違って精製しようとすると、砒素中毒を起こしてしまう危険もあります。
価値がない上に、“危険な石”=“妖精の石”と考えられたわけですね。
ちなみに、コバルトは放射線の原料となるため、放射線医療に使われたり、
もちろんコバルトブルーの原料としても使われる、貴重な石です。
ビタミンB12も含んでいるらしいですけど、石は食べられないですからねぇ・・・・。
あ、石としてのコバルトは、こんな感じです。
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