リャナン・シーは、アイルランドやマン島に伝わる妖精です。 マン島のリャナン・シー(Lhiannon-Shee)と アイルランドのリャナン・シー(Leanan Shidhe)は 正確には別の妖精にも思えるのですが、ほぼ同一の性質なので、一緒にご紹介します。

リャナン・シーは「妖精の恋人」(fairy lover,fairy sweetheart)という意味で、 人間の男性からの愛を求めてさまよう、それはそれは美しい妖精です。 主に女性のリャナン・シーが有名ですが、男性もいるようです。

リャナン・シーは、気に入った男性にとり憑いて愛を求めます。 男性が拒むと、まるで奴隷のように仕えますが、 たいてい、リャナン・シーの美貌に、ころっと受け入れてしまうようです(笑)。 と言っても、リャナン・シーの姿は、リャナン・シーに愛された人にしか 見ることができないようですが。

リャナン・シーは愛する男性に、詩人としての才能を与え、 男性は栄光と名声を手にすることができます。 しかし、その代わり、リャナン・シーは詩人の生命力を吸ってしまいます。 マン島では、リャナン・シーはバンパイアの仲間だとも言われ、 リャナン・シーに愛された人は、すばらしい才能と引き換えに 短命になるか、あるいは、気が狂ってしまうんだそうです。

一方で、リャナン・シーは才能のある詩人を守っているという説もあります。 詩人が早死にしてしまうのは、リャナン・シーとのかなわない愛のためだ、 という、ロマンチックな説も・・・


リャナン・シーは“ゲールのミューズ”とも呼ばれます。 ミューズは、ギリシアの詩や芸術の女神のこと。 ゲール(ケルト)の詩人の多くが短命なのは、 彼らがリャナン・シーにとり憑かれているからだ、とも。 そして、リャナン・シーは愛する詩人を 別の世界へ連れて行ってしまうんだそうで、 死もリャナン・シーの支配力から逃れる術にならない・・・ つまり、死んでも魂はリャナン・シーに囚われて、 妖精の世界へいってしまうという訳です。


才能のある人が、早くに亡くなってしまう理由として語られる妖精ですが、 何となくロマンチックで、結構好きな妖精です。





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