ヨウルプッキ

フィンランドでは、サンタクロースのことを、 ヨウルプッキ(Joulupukki)と呼びますが、これはもともとユールのヤギという意味の言葉でした。 19世紀頃までのフィンランドには、ヨウルウッコという老人が、 ヨウルプッキというヤギを連れて家々を回り、物乞いをするという伝説がありました。 このヨウルウッコとヨウルプッキが混ざり合って、なぜかヤギの角、またはヤギの仮面を被った老人が、 ヨウルプッキという名前で呼ばれるようになりました。 もともとは物をもらうほうだったのに、現在のヨウルプッキは、見事にアメリカナイズされ、 真っ赤な衣装に白い髭のプレゼントをくれるサンタになっています。

スカンジナビアでは、クリスマス中に若者が数人で集まって、家々をまわりながら、 ちょっとした劇をやったり、歌を歌って歩いたんだそうです。 その中の一人が毛皮をかぶって、大きなヤギの姿に変装しました。 19世紀ごろ、ヤギの格好をするのはお父さんやおじいさんになり、子供たちにプレゼントを配る人になりました。 そして、20世紀が近づくとヤギの姿も消え、サンタクロースに仲間入りしたわけです。

また、ヤギの形の人形をワラや木で作って、ご近所にイタズラをする、という伝統もあるそうです。 こちらのヤギの人形は「ユールボック」と呼ばれる魔よけの人形です。 このユールボックを、家の人に気づかれないように家の中に置いてきて、 家の人に気づかれないように持ち出す、というイタズラ(?)をする地域もあるようです。 現在では、クリスマスツリーのオーナメントとして、赤いリボンのワラ製ヤギが飾られているそうです。 また、街中に大きなユールボックを飾っている所もあり、その様子がインターネット上で中継されていたりします。

現代のサンタクロースが住んでいる場所に名乗りを上げている国の一つがフィンランドですが、 フィンランドのヨウルプッキはトナカイの引く空飛ぶソリには乗っていません。 クリスマス・イブに玄関をノックしてやってくるのです! 家の人がドアを開けると、「ここに良い子はいるかい?」って聞くんだそうです。

ユーレニッセ

デンマークやノルウェーなどのサンタクロースの仲間の小人です。 スウェーデンではユール・トント、アイルランドではジョラ・スヴェイナルなどと呼ばれます。 もともとは農家に住み着く妖精、トムテやニッセだったものが、年をとるとユーレニッセになると言われています。

姿はゴブリンに似て、髭を生やした小さな老人です。赤や灰色の洋服を着て、赤い三角帽子をかぶり、 馬や豚、ヤギに乗って家々を回るのだそうです。 ユーレニッセは、煙突から入ってくるのではなく、直接子供たちにプレゼントをくれます。

北欧にはトムテやニッセに、クリスマスにポリッジ(ミルク粥)をお裾分けするという習慣があり、 ポリッジをお皿に一杯と、ビールを馬小屋などに供えておきます。 これをやっておけば、次の一年間、トムテやニッセが家を守り、家畜の世話を手伝ってくれたりします。 これを忘れると、トムテもニッセも怒って大暴れし、ひどいときには家に火をつけると言いますから、 恐ろしい存在でもあるのですね。 このポリッジにはバターを入れるのも重要で、バターがないだけで癇癪を起こしたトムテもいたそうです。

現代では、トムテやニッセといった小人は、サンタクロースのお手伝いをする妖精に格下げされてしまったようです。 サンタの手伝いの妖精を、アメリカではエルフと呼びますが、北欧の妖精なのでトムテやニッセと呼ぶほうが正しいのかも・・・。





Copyright©2007 Orie_☆. All Right Reserved.
Since 2007/07/07
inserted by FC2 system