北欧に、トムテ(Tomte)とニッセ(Nisse)と呼ばれる妖精がいます。 トムテとニッセは、とても似たような性格の妖精で、たぶん同じ妖精を スウェーデンでは「トムテ」と呼び、ノルウェーやデンマークでは「ニッセ」と 呼んでいるんだと思います。 ややこしいので、ここでは「トムテ」としてご紹介します。

トムテは、もともと農家の納屋や屋根裏に住んでいて、仕事を手伝ってくれる、 ホブゴブリンやブラウニーの仲間の妖精でした。 とんがり帽子をかぶった農夫のような格好をして、髭をたくわえた小人なので、ノームにも似ていますね。 大きさは、数十cmから大人の半分ほどの大きさまで諸説あります。 一つ目の小人だ、なんて話もありますが、 トムテを見た人も、たった一瞬、ちらっと見ただけなので、 どんな姿なのかわからない場合が多いんだそうです。


トムテは、農場を守ってくれるだけでなく、家畜の世話をしたり、 家族に幸運をもたらしてくれることもあります。 トムテがいる家は、収穫が良くなったり、良い家畜が育ったりするそうです。 トムテのお気に入りの家畜は、世話が行き届いていて元気なので、一目でわかるんだそうです。 また、たてがみの一部を編んであって、それを見てもトムテのお気に入りだということがわかります。 この編んである毛を解くと、トムテのもたらしてくれる幸運を失うことになるので、 絶対に解いてはいけません!


人間に親切に見えるトムテですが、トムテをバカにしたり、怒らせてしまうと非常にやっかいです。 家畜を殺されてしまったり、収穫できるものが何もなくなり、飢餓を起こすことさえあります! 納屋に立ち小便した人が、思いっきり殴られた、なんて話もあります。 トムテへのお礼も忘れてはなりません。とはいえ、トムテたちがお礼をもらうのは1年にたった1回です。 トムテには、クリスマス・イブにミルク粥をボールに入れて贈るのが、 現在でも習慣になっているそうです。 このミルク粥には、バターを忘れずに。 バターが無いだけで、怒らせてしまうこともあるようです。

このトムテとニッセは、クリスマス特集にも登場する 「ユーレニッセ」という存在になって、現代まで子供たちに愛されています。 トムテやニッセが、サンタの仕事を手伝っているともいわれています。 ほとんどの妖精が、キリスト教が入ってくると悪魔のような扱いにされてしまっているので、 彼らはうまくキリスト教との共存に成功したタイプの妖精ですね。

ノルウェーには、「危険!ニッセに注意!」という標識が、 今でも道路に立っているそうです。






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