トロールあるいはトロルは、北欧で最も身近な妖精です。
が、しかし、同じトロールと呼ばれる妖精でも、伝説や物語によって姿かたちのイメージがバラバラです。
昨今のファンタジー系の小説や、アニメ、ゲームの世界では、トロールといえば「巨人」ですね。
身長は3mぐらいで、頭が鈍く、乱暴者で、話が通じる相手ではありません。
このイメージは、トールキン氏の『ホビットの冒険』に登場する3匹のトロールや、
『指輪物語』のトロールのイメージがかなり大きな影響を与えているそうです。
『ハリー・ポッター』で、ハリーたちが1年生の時にホグワーツのトイレに侵入したトロールは、
巨人で頭が鈍くて、乱暴な怪物って感じでしたよね。おまけに、臭いんだそうなので、できれば会いたくないです(笑)
このトロールも、トールキンのトロールの影響を受けているように思えます。
この巨人のトロールも、もちろん北欧の伝承やイギリスの伝承にも現れます。
巨大な人食い鬼で、頭が2つ3つあったり、牙があるものや、1つ目のものもいます。
山の洞窟や、地下に住んでいて、太陽の光を浴びると石になってしまうというのも『ホビットの冒険』そっくり。
John Bauer/『The Princess and the Trolls』
↑お姫様をさらってきたトロールたち↑
一方、北欧、特にスウェーデンやフィンランドで根強く愛されているトロールは、小さな小人です。
手足の指が4本ずつで、鼻が長いのが特徴。
人間のような社会を築いていて、農民のような生活をしていたり、人間の家の台所に住んでいるとも言われます。
ただ、ちょっと盗み癖があるようで、家の中のものが無くなっちゃうんだそうです。
それならまだしも、人間の子供や女の人をさらってしまうことも・・・。
これは、“Changeling”(取替えっ子)と言って、他の妖精の多くも行うと言われます。
(もちろん、エルフやドワーフも!)
また、人間そっくりの姿のトロールの話もあります。
たいていキレイな女の人なのですが、服の下に「尻尾」を隠しているそうです。
見分ける方法は意外と簡単。森の中なのに妙にドレスアップした女の人がいたら、たぶんトロールです。
美しい貴婦人の格好をして、人間の男性を誘惑します。
また、トロールは姿を消すことができるとも言われ、変身の名人で、ただの倒木や動物になったり、
毛糸玉になっていることもあるとか。
森の中を歩いていて、話し声や物音が聞こえたり、料理の匂いがしたら、トロールの住処のそばにいるというしるしです。
できれば、そーっと離れましょう。Changelingの被害者にならないように・・・。
さてさて、トーベ・ヤンソンが作り出したムーミントロール。
あの、ちょっとカバっぽい絵(失礼)は、トロールの特徴である長い鼻を、かわいらしく表現したものなんですって。
ちなみに、ムーミンって、人間社会で考えると、身長15cmぐらいらしいです。
ん? じゃぁ、スナフキンも、妖精の一種? スナフキンは独り身の妖精タイプですね。
服も緑でパイプ好きなので、意外とレプラコーンの仲間かもしれません。
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