冥界の番犬ケルベロス


Luca Giordano/『Fresco in the Palazzo Medici-Riccardi』(1686年)の一部
ハリーポッターにも登場したケルベロスの本業は、冥界の番をすることです。 一般的には頭が3つある凶暴な犬で、尻尾がヘビまたは竜、首のところにたくさんのヘビがついていて、 たてがみのようになっているという姿です。頭が50あるという説もあります。 エキドナとテュポンの子供で、ヘラクレスに倒されたヒュドラとラドンはケルベロスの弟にあたります。 しかし、冥界の王ハデスに従っているので、ヒュドラやラドンのような怪物とは少し異なるようです。 地獄に入る人には何もしませんが、出ようとする人には猛然と襲い掛かります。 このケルベロスを連れてくることが、ヘラクレスの最後の仕事になりました。 というのも、ミュケナイの王様は、ヘラクレスが冥界から戻ってこられるとは思っていなかったのです。

まず、冥界へどうやって行くかというのが大問題でした。 ヘラクレスは死者の案内人でもあるヘルメスに会い、冥界へ先導してもらいます。 冥界へ降りていくと、ギリシア版三途の川ステュクス川の渡し守カロンは、 生きたまま冥界へやってきたヘラクレスを見て驚き、慌てて船に乗せて向こう岸へ渡してくれました。 (このおかげで、カロンはハデスに罰せられたそうですが。)

ハデスはヘラクレスに入国を許さず、取っ組み合いの喧嘩までしますが、 たくさんの戦いを勝ち抜いてきたヘラクレスには敵わず、とうとう入国を許します。 そしてケルベロスを、「決して傷つけたり殺したりしない。」という約束で 借りてくることに成功しました。 この時、ハデスの愛妻ペルセポネを誘拐しようと企んだために、 忘却の椅子に座って廃人となっていたペイリトオスと英雄テセウスを見つけ、 テセウスを助けたり、大岩の下敷きにされていた霊を助けたりしたため、 これ以上冥界の秩序を乱されては困ると、ペルセポネに早く地上へ帰ってと懇願されたほどでした。

ヘラクレスは素手でケルベロスを捕まえて、肩に担いで地上へ戻ってきました。 その時、ケルベロスのヨダレが地上に落ちて、猛毒トリカブトが生まれたとか。 ミュケナイの王様は、いつものように震え上がってヘラクレスを迎え、 ヘラクレスの功業を認めるました。 ヘラクレスはハデスの許可を得て、すぐにケルベロスを元の場所に返したそうです。




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