ガイアは昼と夜を産み、山や海、植物や動物、怪物も産み、
ガイアの産んだ神様がまた色々なものを産み、
この時代には、すでに人間も生まれています。
世界が、今の世界と同じような形に整った頃といえるかもしれません。
父ウラノスを殺して、クロノスは新たに神々の王となりました。
クロノスは、姉である地母神のレアと結婚します。
クロノスとレアの間には、ポセイドン、ハデス、
ヘスティア、デメテル、ヘラという神族が生まれました。
ところがクロノスは、レアが子どもを生むそばから、
つぎつぎと自分の子どもたちを飲み込んでしまいます。
クロノスは、自分も父ウラノスと同じように、自分の子どもに地位を奪われ、
殺されることを恐れていたのです。
妻のレアは、子どもたちを奪われ、ひどく悲しんでいました。
そして、次に子どもが宿った時、母のガイアに相談します。
ガイアも、いくら自分の息子でも、子どもを奪う男は許しません!
ガイアはレアに知恵を授けます。
Nicolas Poussin/『The Nurture of Jupiter』 (1635-37年)
↑ヤギのお腹の下にいるのが赤ちゃんゼウス↑
レアは密かに家を出て、クロノスに気づかれないよう一人で子どもを産みます。
そして生まれてきたのが、ゼウスでした。
レアは生まれたばかりのゼウスと同じくらいの大きさの石を探し、
その石に産着を着せて、大事に抱えてクロノスのところに帰ります。
クロノスは、レアが帰ってきたのを見るなり、レアの抱いている石を取り上げて、一飲み!
レアはゼウスをクレタ島の洞窟に隠し、密かにゼウスを育てることにしました。
とはいえ、レアは神々の女王の立場です。クロノスにゼウスの存在を気づかれないように、
密かに育てると言っても、協力者が必要でした。
その協力者が、アマルテイアというニンフでした。
アマルテイアはゼウスにヤギの乳を飲ませ、赤ん坊の泣き声がクロノスの耳に入らないよう、
ゼウスがグズって泣くときは、ゼウスの周りで歌ったり踊ったり、
時には槍と盾をぶつけて大きな音を出したりして、ゼウスを守り育てました。
このアマルテイア自身がヤギの姿で描かれることもあり、このヤギがのちに星座になってヤギ座になります。
こうしてレアとアマルテイアのおかげで、ゼウスは無事に立派な青年に育ちました。
レアは大人になったゼウスを呼んで、父クロノスのひどい仕打ちを話し、
クロノスを懲らしめることになります。
ゼウスは、年老いたクロノスが猟に出かけるのを待ち伏せて、
突然クロノスの目の前に飛び出すと、クロノスのお腹を思いきり蹴り飛ばしました。
すると、クロノスはまず石を吐き出し、その後から、
ハデスやポセイドン、ヘスティア、デメテル、ヘラの兄弟姉妹たちが、
次々とクロノスの口から吐き出されました。
この5人は神族だったので、クロノスのお腹の中でも、立派に成長していました。
この時、一番初めに吐き出されたのが、ゼウスの身代わりの石だったので、
再び地上に生まれ出たのは、ゼウスが一番ということになるので、
ゼウスが長男になった、と考える説もあります。
クロノスは驚いて、森の中に逃げていきましたが、
ゼウスは深追いしませんでした。
しかし、クロノスは自分を襲った者が誰なのか、はっきりと気づいていました。
父ウラノスの“お前は父である私を殺し、私の王座を奪った。 お前も、自分の息子に同じことをされるだろう。”
という、最後の予言の言葉とともに・・・。
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