ゼウスに助けられた兄弟たちは、ゼウスに感謝し、ゼウスを自分たちのリーダーにすることに決めました。 というのも、兄弟たちも父クロノスが、 このまま黙って引き下がる相手ではないということを知っていたからです。 ゼウスは、彼らをオリンポスの山に連れていき、怒ったクロノスの襲撃に備えました。

クロノスは、自分の兄弟たちにあたるティタン神族を率いて、 オリンポス山に布陣しているゼウスたちを攻めました。 古い神のティタンたちと、ゼウスたちの激しい戦争は 「ティタノマキア」と呼ばれます。

クロノスが率いるのは、ウラノスとガイアの子どもや孫にあたる古い巨神の一族です。 この時の戦いに参加し、ゼウスと敵対した神様は、「ティタン神族」と呼ばれます。 コイオス(アポロン・アルテミスの祖父にあたる)、ヒュペリオン(ヘリオス、セレネ、エオスの父)、 イアペトスとアトラス親子や、クロノスの兄弟が中心となっていました。

一方、ゼウス軍はクロノスとレアの子供である、ゼウスと兄弟が力を合わせて戦います。 といっても、やはり男神が中心なので、ゼウスとハデスとポセイドンが主な戦力です。 どう考えても人数ではクロノス勢が有利ですね。 それでもゼウスたちには、上の世代を上回る力がありました。

また、ティタン神族の中でも、クロノスの妻レアや、 大海の神オケアノスなどは、この戦いに参加しませんでした。 ゼウス側に武があると見抜いたオケアノスは、 ティタン側についていた娘、地下を流れる大河の女神ステュクスに、 ゼウス側につくように勧めたくらいです。 ステュクスは、自分の子どもたちも連れて、ゼウス側に寝返りました。 のちに戦いでの功績が認められて、ギリシア版三途の川の女神になったそうです。


Cornelis van Haarlem/『The Fall of the Titans』 (1588年)
↑ティタンがタルタロスに落ちていくシーンです。↑

途中ステュクス一族の裏切りがあったものの、戦いは決着がつかないまま、10年の間続きました。 膠着状態が続く戦いを打開しようと、ゼウスはガイアに相談します。 するとガイアは、地下タルタロスに幽閉されている、 ヘカトンケイルとキュクロプスを味方につければ、勝てるだろうと言いました。

ヘカトンケイルは、五十の頭に百の手の巨人。 キュクロプスは一つ目の巨人で、 ガイアとウラノスの子どもでしたが、ウラノスがその醜さを嫌って、 タルタロスに閉じ込めてしまったのでしたね。

ゼウスはガイアに言われたとおり、すぐにヘカトンケイルとキュクロプスを タルタロスから助け出しました。 ヘカトンケイルもキュクロプスも、実はそれぞれ3兄弟です。 キュクロプスは、助けてもらったお礼に、 ゼウスに稲妻を、ハデスに姿を隠すことのできる兜を、 ポセイドンには三叉の矛トライデントを作りました。

ヘカトンケイルとキュクロプス、そして強力な武器を手にしたゼウスたちは、 再びティタン神族と激突します。 この時、大地と海が炎上するほど激しい戦いになったそうです。

ティタン神族は、ゼウスの稲妻に当たって盲目となり、 ついには降参・・・。 ゼウスたちオリンポスの神々の時代がやってきたのでした。 ゼウスは、ティタン神族をタルタロスに閉じ込め、 ポセイドンが青銅の門を作りました。 ヘカトンケイルは、そこの見張りをする役目になり、 キュクロプスは、もう少し地上にとどまることになります。



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