Antonio Pollaiuolo/『Herakles und die Hydra』(15世紀)
↑ヒュドラと戦うヘラクレス↑
ヘラクレスは10の勤めを果たすため、ミュケナイの王様のところへ行きました。 実はこの王様、ヘラクレスとは親戚関係にあります。王様もヘラクレスと同様ペルセウスの子孫です。

ヘラクレスが生まれる少し前、ゼウスはこんな宣言をしました。 「今日生まれる最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」 つまり、その日最初に生まれるはずだったヘラクレスを ゼウスは王にしたかったのです。ここでもゼウスがヘラクレスを溺愛していたことがわかります。

しかし、ここでヘラが邪魔をします。 ヘラは出産の女神を遣わして、ヘラクレスと双子の兄弟の誕生を遅らせました。 そして、ペルセウスの別の子孫で、まだ妊娠7ヶ月だった子供を先に生まれるようにしてしまったのです。 もう生まれる前からヘラに目を付けられていたのでしょうか?  良く考えると、まだヘラクレスの存在をヘラが知らないのではないかと思うのですが、 この手の時間的矛盾は、ギリシア神話には結構ありますのであしからず。

ともかく、本来なら自分がなっていたはずのミュケナイの王様に会いに行ったヘラクレスは ミュケナイ王の奴隷となって、数々の冒険をすることになります。 このミュケナイの王様はかなり情けないタイプで、 ヘラクレスが退治したり、生け捕りにした怪物を見るのを怖がって、壷の中に隠れていたそうです。。。 そんな情けない王様の命令で、ヘラクレスは数々の困難かつ危険な冒険に出かけるはめになりました。 ヘラクレスのもとには、常に戦いの女神アテナが付き添っていたようで、ヘラクレスの後ろにアテナが描かれた壷なども残っています。 とはいえ、ヘラクレスには“短気”という欠点がありました。 怒ると手に負えないほど暴れてしまうのです。これが原因で、大切な人を失うことにもなるのですが・・・。 この欠点を直すためにも、情けない王様に仕えよ、というお告げがおりたのでしょう。


ネメアの獅子退治

まず最初の仕事はネメアの谷に住むライオンを退治することでした。 このライオンは、ただのライオンではなくテュポンとエキドナという多くの怪物を 産んだ両親から生まれた不死身のライオンとされています。 ヘラクレスがライオンを探していると、お腹をいっぱいにしたライオンを山の中で見つけます。 ヘラクレスは岩の陰に隠れて待ち伏せ、アポロンから送られた矢を放ちますが、 ライオンのわき腹に当たって跳ね返ってしまいます。 いくらお腹がいっぱいでも、攻撃されたライオンはヘラクレスに襲い掛かりました。 ヘラクレスはとっさにオリーブの枝で作った棍棒を武器にライオンと戦います。 棍棒が折れた後は、素手で戦いました。 長い長い格闘のあと、ようやくライオンを倒したヘラクレスは、 アポロンの矢をも弾いたライオンの毛皮を剥いで、鎧代わりにします。 以後、ヘラクレスといえば、ライオンの毛皮をかぶった姿で描かれます。 この様子を見ていたゼウスは、ライオンを天空の星に加え、しし座になりました。




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