ヨゥラスヴェイナル

スキール大食い(Skyrgamur)
12月19日、スキールというアイスランドの乳製品を大量に食べる“スキール大食い”がやってきます。 かつては各家庭で作られ、樽に入れて保存されていたそうです。 “スキール大食い”は食料貯蔵室に忍び込むと、スキールの入った樽をガンガン叩いて、 蓋を壊してしまいます。 そして、お腹がはち切れる寸前までスキールをむさぼり食うのだそうです。 自分の胃の大きさがわかっていないので、食べ過ぎて苦しむことになるのだとか。 山へ帰るのは1月1日です。

ソーセージ泥棒(Bjugnakraekir)
12月20日にはソーセージ泥棒がやってきます。 ソーセージ泥棒はソーセージが大好きで、他の兄弟たちよりは頭脳派です。 アイスランドの家には、屋根を支える垂木にソーセージをぶら下げてありました。 ソーセージ泥棒は垂木に登ってソーセージを盗む機会をうかがっています。 うまくソーセージを盗むと、横桁の上に座って煤と煙にまみれながら、 ソーセージをスモークさせて食べるのだとか。燻製ソーセージは身分の高い人が食べるので、 自分も身分が高い人になった気分になるのでしょう。 1月2日に山へ帰ります。

のぞき魔(Gluggagaegir)
12月21日は、のぞき魔が現れます。彼が10番目のヨゥラスヴェイナルです。 窓によじ登って中を覗き見するのが大好きで、不気味な姿をしています。 部屋の中にある物に目をつけておいて、後でこっそり盗むそうです。 でもちゃんと靴の中にプレゼントを残してくれるそうなので、 交換しているつもりなのかも。 山へ戻るのは1月3日です。

ドアの臭いかぎ(Gattapefur)
12月22日に山から下りてくるのは、“ドアの臭いかぎ”です。 彼はとても大きな鼻のおかげで、一度も風邪を引いたことがないそうで、 その敏感な鼻で遠くから臭いをかぎつけます。 この頃、アイスランドではクリスマスのご馳走を作り始め、 中でもレース・ブレッドと呼ばれるアイスランド伝統のケーキが大好きなのです。 レース・ブレッドはアイスランドでは取れない小麦を使っているため、 透けて新聞が読めるほど薄く薄くのばした生地に、レースのような模様を入れて、 油で揚げたケーキです。 “ドアの臭いかぎ”は遠くの山からこの臭いをかぎつけて、 風のようにドアまで走っていき、ドアからもれる香りをフンフンかぎます。 そして、一つか二つ、ケーキを失敬しようと考えます。 1月4日に山へ帰っていきます。

肉フック(Ketkrokur)
12月23日は聖ソルラゥクルの日で、この日にやってくるのが“肉フック”です。 フック(かぎ針)で、肉を盗むのです。 この日はラム肉を食べる伝統があり、台所の煙突からフックを使って、 垂木に吊るされているラム肉や、フライパンで調理中の燻製ラム肉を盗みます。 山へ帰るのは1月5日です。

ロウソク乞い(Kertasnikir)
12月24日のクリスマスイブに山から下りてくるのは、“ロウソク乞い”です。 ロウソクが貴重だった時代、クリスマスイブになると、子どもたちにロウソクがプレゼントされました。 このロウソクは魚の脂から作られていて、食べることもできたとか。(おいしくはないらしい)  このロウソクに火を灯して、楽しそうに行進する子どもたちの後を、“ロウソク乞い”はついて歩きます。 ロウソクを盗んで食べたいのか、子どもたちのようにロウソクをもらいたいのか、どちらでしょうね。 1月6日に彼が山へ帰ると、アイスランドの長いクリスマスも終わりです。


12月24日
この日は13人のヨゥラスヴェイナルが全員そろって過ごす日です。 アイスランドでは24日の夕方からクリスマスを祝います。 これは、現在の午後6時から一日が始まると考えられていた時代の名残りで、 ヨゥラスヴェイナルもこの時ばかりはイタズラをやめて、 静かに明かりを見つめて過ごすのだそうです。 午後6時に教会の鐘がなると、アイスランドの家庭ではクリスマスディナーが始まり、 その後でプレゼントを開けてしまうそうです。

※ヨゥラスヴェイナルの名前( )内表記は、都合により一部変更しています。 日本語名はオリジナル訳です。





Copyright©2007 Orie_☆. All Right Reserved.
Since 2007/07/07
inserted by FC2 system