グリーラ

アイスランドのサンタクロース(?) ヨゥラスヴェイナルには、お母さんがいます。このお母さんが、またまた面白い経歴の持ち主なので、ご紹介したいと思います。

ヨゥラスヴェイナルの母親は、グリーラ(Gryla)という名前の山姥です。もともとはクリスマスとは何の関係もない、アイスランドに伝わる恐ろしい怪物でした。夜な夜な農家に忍び込み、子供たちを盗んで食べてしまう怪物です。

グリーラのことが出てくる最も古い文献は、13世紀に書かれたもので、 15本もの尻尾がはえた女の怪物というのがグリーラの姿でした。 16世紀には、15本の尻尾がある上に、それぞれの尻尾で100個ずつ袋を持っており、その袋の中にはそれぞれ20人の子供が入っている・・・という姿で、子供たちが読む本の中に登場しています。グリーラは、悪い子をシチューにして食べるのが、大好きなのです。

17世紀頃、グリーラはヨゥラスヴェイナルのお母さんというキャラクターを与えられていますが、この頃もまだグリーラの恐ろしい面は変わらず、それどころかヨゥラスヴェイナルを使って悪い子を集め、子供たちを食べてしまうという恐ろしい物語になっています。これは、気候が厳しく貧しかったアイスランドでは、子供たちが大きな労働力と考えられていた時代に、子供たちを脅して一生懸命働くよう教育したことが要因です。あまりにも怖いので、なんと1746年にグリーラとヨゥラスヴェイナルのお話で、子供たちを脅かすことを禁止する法令が出ているそうです。

グリーラにはレッパルージという名の夫がいますが、この前にも二人の夫がいたようです。最初の夫は、どうやらグリーラが食べてしまったようです・・・。2番目の夫がどうなったのかは、誰も知らないとか・・・。3番目で現在も良い関係が続いているらしいレッパルージは、グリーラと同じく子供が大好物です。グリーラは夫の分も子供をさらうので、悪い子ばかりが犠牲になるとは限らなかったようです。しかし、時代が下るに連れ、グリーラとレッパルージのキャラクターはどんどんやわらかくなり、無差別に子供をさらって食べてしまうことはなくなりました。それでも、悪い子はグリーラにさらわれるという言い伝えは残っていて、今ではクリスマス前に子供たちが良い子でいるのに一役買っているようです。




 

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